宮坂木造研究開発室の木造の家づくりガイド
生活の質
住み心地の良い木造の家に 樹齢より永く暮らせるように
昔から続けられてきた造り方に現代の技術をとりいれ
変化し続けるライフスタイルの器となる木造住宅をつくりましょう

メンテナンス・改修・再生

 人が造る物、すべてに共通したことですが、新築した木造住宅も完成したその日から老朽化が始まります。
 木造住宅の快適さや住み心地の良さを保つには、まず、建物自体のメンテナンス(点検・清掃など)が必要です。
 メンテナンスを繰り返すうちに、建物の仕上げの一部をやり替えたり、設備機器を交換する改修の時期が来ます。住んでいる人の家族構成が変われば、部屋の間仕切りや電気配線の変更も起きます。
 年月が経ち、大規模な改修が必要になり、住む人が変わって建物の使い方も変わる場合には、再生工事によって、建物の寿命を延ばすことができます。

 このように、新築後のメンテナンスや改修、再生の手が加えられることで、木造住宅は誰にとっても住み心地よく、長く使われることになります。
 一軒一軒の家が、長く住み続けられることで、落ち着いた街並みの景観が整い、やがては、町の風景として多くの人の記憶に残るようになります。

経年変化の異なる建築部位

[築後10年未満]
 枯葉の雨樋の詰まりや雨天時の風向きなどが原因で起きる外壁の汚れ、そして室内仕上げの汚れ、
 家具配置の変更による間取りの不具合が起きやすい時期です。
 メンテナンスと、電気のコンセントやスイッチと家具配置の入念な検討を行なっておけば、この変化を事前
 に防げます。

[築後10年]
 屋根や外壁に用いる耐久性の高い素材や建材も太陽・雨・風などの自然の力によって劣化します。
 外壁に室内や屋外の湿気が浸入すると断熱材の性能は落ち、雨水が入ると木材の腐れや白蟻が巣食う
 原因になります。
 給湯器やエアコンは交換の時期が来ます。
 また、家族の年齢構成の変化によって、間取りを変えることも起きてきます。
 この時期の改修費用は、新築時費用のおよそ10%ぐらいになるでしょう。

[築後20数年〜30数年以上]
 新築時に選択した建材の性能や、入居後のメンテナンスや改修工事の仕方が老朽化の程度の差になっ
 て現れる時期です。
 建物の老朽化の程度を耐震診断をふくめて行ない、費用対効果のある善後策を立てましょう。
 建物用途の変更と改修を同時に行なう再生工事の場合は、新築費用の50%ぐらいが、おおよその目安に
 なるでしょう。

−建物の経年変化への対処の仕方−
 このような建物の外部と内部に起きる変化を知っておけば、次のような設計により、永く住めるように
 なります。

  ・外壁や屋根には、メンテナンスの少ない耐久性の高い建材を選択。
  ・外壁と屋根に通気構法を施し、建物に「鞘」を設ける。

「土壁と木の家」の外壁屋根の通気構法、「暮らし方の自由な家」の通気構法参照
  ・外装材、骨組み、内装、設備機器・配線配管の改修をしやすくする。
   (「オープンビルディングという方法」参照)