宮坂木造研究開発室の木造の家づくりガイド
生活の質
住み心地の良い木造の家に 樹齢より永く暮らせるように
昔から続けられてきた造り方に現代の技術をとりいれ
変化し続けるライフスタイルの器となる木造住宅をつくりましょう

設計の“勘所”


Q1. どのようにすれば、快適な住み心地を永く保てるか?
Q2. また、その予算はどれほどかかるのか?
 私たちがよく聞かれる上の質問の答えが、設計のポイント、つまり勘所になります。この質問にお答えするために「快適で丈夫な木の家」「工事予算のたて方」について説明させていただきます。

快適で丈夫な木の家

 耐久性が高く、快適さと丈夫さを同時に備えた木の家を設計する第一のポイントは、「永く住むための方法−これからの木造住宅(経年変化の異なる建築部位)」で説明しましたように、室内に現わした太い木の骨組みと、この骨組みを「鞘(さや)」で包むように通気層をそなえた屋根と外壁 を設けることです。
 この通気層は外気と室内の湿度の高低差によって生じる壁の中や天井裏の湿度を緩和し、室内の湿度の変化も抑えます。

 二番目のポイントは、この骨組みと鞘に加え、下の図のように
「熱容量の大きな壁材・天井材と床材+外断熱層 」を室内に設けることです。熱容量が大きな建材とは、暖まると冷めにくく、冷えると暖まりにくい石焼き芋の石のような働きをする建築材料です。「土壁と木の家」では、変化の大きな外気の熱の影響を受けにくくするため、土壁の外断熱層で補強しました。

 熱や湿度も、高いほうから低いほうへ流れます。この原理を利用して、四季の変化や昼と夜の外気の気候条件を緩和しながら、身体の体温発散速度を適度に保てる室内環境の設計ができます。
「木造の住み心地良さ−室内気候」も参照ください。)
体温発散速度*:テーテンス事務所、葉山成三さんの考え方による。

工事予算のたて方

 何もない土地の上に建物を建てるということは、日常の買い物と異なる所が多いということを、まず知っておいてください。
 買い物は売り手と買い手の間で取引きされる「完成品の売買」ですが、「建物を完成させるための工事発注」には、建築主と工事関係者との間で次のような手順が必要になり、品物の売買ほど単純ではないことを想像してみてください。

1) 複数*の工事関係者に各工事内容ごとの見積りを照会し、
    (*木造住宅で約15業種、その他の一般建物では約30業種)
2) 建築主と工事関係者の間で合意できる見積書をまとめ、
3) 工事契約を取り交わしたうえで、木造住宅であれば着工後数ヶ月の工事
   期間を経て建物が完成して取引きが成立。

 したがって、工事予算は上の2)の段階まで進まないと確定しません。
また、このような見積書をまとめるためには、下の図のように費用対効果を
考えながら、設計と概算見積りの試行を何回か繰り返すことが必要です。
基本設計段階、実施設計段階については
上の図の⇔をクリックしてください
 また、着工後、工事が進むにつれて建築主の方の要望が増え、追加工事が生じる傾向がありますので、次の二つの選択肢があることを知っておきましょう。
 さらに工事予算を立てる上で大事なことは、「坪単価*」の数値に振り回されずに、各工事費用の配分と費用対効果のバランスを建築主のご家族の中で十分話合うことです。
坪単価*:
建築工事費を床面積で割った金額を「坪単価」と言っていますが、工事費は建物の床面積だけで変わるものではなく、建物の形状、敷地条件、建材の仕様、建築資材の調達条件などによって変わります。
◇工事費を左右する諸要因
現実は下の図のように複雑です。
それでもまだ、「坪単価」を信用しますか?
各工事費用の配分
−おおよその目安−
こちらで詳しく説明していますこちらで詳しく説明しています